『時計じかけのオレンジ』はうまいかまずいか
「よう、これからどうする?」
とまあこんな感じで、『時計じかけのオレンジ』は始まる。語り手はアレックスという危ない、というか狂った、というのか、まあ普通ではない若者。
物語は〈コロバ・ミルクバー〉から始まる。アレックスとそのドルーグ(仲間)たち――ピートにジョージにディム。どいつもこいつも悪い奴で、しょうもない。
この小説の魅力は、ずばり言葉。例えば上で使ったような、「仲間=ドルーグ」って感じで、造語ががんがん出てくる。でもそれが良い感じに、小説世界を盛り上げる。例えば「モロコ=ミルク」「デング=金」「スメック=笑い」「モズク=頭」「デボーチカ=おんなのこ」と、こんな造語が普通の文章に中に出てくるので、ルビがなければ何を言ってるのかわかったもんじゃない。でもそれが麻薬のようにスロースロップのモズクん中をぐちゃぐちゃにかきまわして、快感をもたらすわけです。造語だけじゃないくて、文体そのものもなかなか珍しい手法を用いていて、その手法と造語の相性が良い。
まあ読んでもらうのが一番ですんで読んでみてくださいな。今から40年以上前の小説だけれど、新鮮さが失われていない。その理由として世界観が近未来だっていうのもあるんだけれど、一番の理由は小説のテーマがひどく普遍的だからだと思う。暴力とはいったいなんなのか、っていうのが一つのテーマになってる。(風刺小説であるので、もちろん当時の英国の状況なんかがあらわれているんだろうけれど、そんなもん知ったこっちゃない。)
暴力とはなんなんだろうか? 物理的? 精神的? みかけはオレンジだけど、中身は機械じかけになっちゃうような暴力って何なんだ?
・・・・・・正直に告白します。わかりません。小説の中では一つの政府が主人公の人格を矯正――非人道的な方法で――する。そして最期のあたりで、その次の政府――たぶん政権交代でもしたんだろう――がまた矯正――詳しくは語られてないけれど――する。だから暴力とは、何か一つの思想で――例えばファシズムとか――人間の人格を変形させてしまうようなものをそう呼ぶのかもしれない。または、アレックスが繰り返してきた犯罪行為をそう呼ぶのかもしれない。さらには、一つ目のものとかぶるんだけど、政府とか公といった存在の都合で、暴力の定義が簡単に変わってしまうというものこそを、本当の暴力というのかもしれない。
でも、スロースロップは、わからない。殴られてたら痛いし、悪口言われても辛い。自分の人格を否定されたくもない。暴力ってことは、力で何かを変形させる、もしくは傷つけるってことなんだろう。でも、個人的には癒しも暴力になる場合があると思っている派なので、ことはそう単純じゃない。
やっぱり、あれかな。個人個人の問題なのかな? まあ、いいさ。わからんもんはわからんってしておこう。いつかわかるかもしれない。
ちなみに、この小説には幻の最終章ってのがあって、初版にのみそれがあったようだけれど、作者の意向により削除されてしまったみたいです。でも、ネットは広大です。それを日本語訳して載せてくれている方がいらっしゃいます。興味があったら探してみては? スロースロップ的には幻の最終章もなかなか好きです。
――追記
先日、このブログ初のコメントをしてくださった方、ありがとうございました。お礼の仕方がわからなかったので、こういう形でお礼申し上げます。これからも更新を頑張っていきたいと思います。
とまあこんな感じで、『時計じかけのオレンジ』は始まる。語り手はアレックスという危ない、というか狂った、というのか、まあ普通ではない若者。
物語は〈コロバ・ミルクバー〉から始まる。アレックスとそのドルーグ(仲間)たち――ピートにジョージにディム。どいつもこいつも悪い奴で、しょうもない。
この小説の魅力は、ずばり言葉。例えば上で使ったような、「仲間=ドルーグ」って感じで、造語ががんがん出てくる。でもそれが良い感じに、小説世界を盛り上げる。例えば「モロコ=ミルク」「デング=金」「スメック=笑い」「モズク=頭」「デボーチカ=おんなのこ」と、こんな造語が普通の文章に中に出てくるので、ルビがなければ何を言ってるのかわかったもんじゃない。でもそれが麻薬のようにスロースロップのモズクん中をぐちゃぐちゃにかきまわして、快感をもたらすわけです。造語だけじゃないくて、文体そのものもなかなか珍しい手法を用いていて、その手法と造語の相性が良い。
まあ読んでもらうのが一番ですんで読んでみてくださいな。今から40年以上前の小説だけれど、新鮮さが失われていない。その理由として世界観が近未来だっていうのもあるんだけれど、一番の理由は小説のテーマがひどく普遍的だからだと思う。暴力とはいったいなんなのか、っていうのが一つのテーマになってる。(風刺小説であるので、もちろん当時の英国の状況なんかがあらわれているんだろうけれど、そんなもん知ったこっちゃない。)
暴力とはなんなんだろうか? 物理的? 精神的? みかけはオレンジだけど、中身は機械じかけになっちゃうような暴力って何なんだ?
・・・・・・正直に告白します。わかりません。小説の中では一つの政府が主人公の人格を矯正――非人道的な方法で――する。そして最期のあたりで、その次の政府――たぶん政権交代でもしたんだろう――がまた矯正――詳しくは語られてないけれど――する。だから暴力とは、何か一つの思想で――例えばファシズムとか――人間の人格を変形させてしまうようなものをそう呼ぶのかもしれない。または、アレックスが繰り返してきた犯罪行為をそう呼ぶのかもしれない。さらには、一つ目のものとかぶるんだけど、政府とか公といった存在の都合で、暴力の定義が簡単に変わってしまうというものこそを、本当の暴力というのかもしれない。
でも、スロースロップは、わからない。殴られてたら痛いし、悪口言われても辛い。自分の人格を否定されたくもない。暴力ってことは、力で何かを変形させる、もしくは傷つけるってことなんだろう。でも、個人的には癒しも暴力になる場合があると思っている派なので、ことはそう単純じゃない。
やっぱり、あれかな。個人個人の問題なのかな? まあ、いいさ。わからんもんはわからんってしておこう。いつかわかるかもしれない。
ちなみに、この小説には幻の最終章ってのがあって、初版にのみそれがあったようだけれど、作者の意向により削除されてしまったみたいです。でも、ネットは広大です。それを日本語訳して載せてくれている方がいらっしゃいます。興味があったら探してみては? スロースロップ的には幻の最終章もなかなか好きです。
――追記
先日、このブログ初のコメントをしてくださった方、ありがとうございました。お礼の仕方がわからなかったので、こういう形でお礼申し上げます。これからも更新を頑張っていきたいと思います。
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